Pigment 日本ピグメントグループ Recruiting Site

ENTRY

WORKS

Project story2

生産技術者としての誇りのもと、
ものづくりを支える。

メーカーである日本ピグメントの、
ものづくりの最前線が工場。
その現場では、多くの技術者が
ものづくりを支えています。
その一員である生産技術グループの、
あるチャレンジをご紹介します。

機密が詰まった最重要マシン

皆さんは“押出機”というマシンをご存じですか。押出機、別名・エクストルーダとは、プラスチック樹脂、着色剤、添加剤などの混合物を高温で溶融し、混錬した上で、ペレット状に加工するマシン。樹脂コンパウンドを製造する日本ピグメントにとって、最も重要なマシンの一つです。
理髪店の前に置かれているサインポールを思い浮かべていただくとわかりやすいのですが、筒の中をスクリューがぐるぐると回りながら混合物を溶かしつつ練り込んで加工していくのが押出機の仕組みです。日本ピグメントの埼玉川本工場にある押出機は、1本タイプの「単軸機」と呼ばれるものと、2本のスクリュータイプの「二軸押出機」と呼ばれるものがあります。二軸押出機のスクリューの構成、大きさや角度、回転速度などをどのようにアレンジするかは、これまで数多くの熟練の技術者が知見を重ねて生み出してきた、機密中の機密です。
ここにご紹介するプロジェクトは、生産技術グループにある依頼が持ち込まれたところから始まりました。

未知の領域へのチャレンジ

持ち込まれたのは、お客様からの「試作品の立ち上げをお願いしたい」という依頼でした。
その依頼で使われる樹脂は、これまで使用していた一般の樹脂とは違う特性をもっていました。熱に対する感度が高く、少しの温度上昇でも品質が変化してしまうのです。
押出機のアレンジには、既存のものが何パターンか用意されています。生産技術グループでは、まずはその既存のパターンで対応できないかを検討しました。
新たなアレンジを用意するとなるとどうしても作業工程が増えてしまいます。できれば既存のアレンジで対応できればベスト。ところが検討の結果はNG、既存のアレンジでは品質を担保できないという結論になったのです。
しかし、難題に直面するほど、“やってやろうじゃないか!”と燃えるのが技術者魂。生産技術グループの面々は、初めてのことにチャレンジするもワクワクした気持ちで一歩を踏み出しました。

新たなスクリューアレンジを生み出す

生産技術グループには、化学系出身者のみならず、様々な分野の専門知識を学んできた技術者がそろっており、製造や調色の部門から異動してきた社員もいます。そうした多様なバックグラウンドによって培われた経験をもとに、生産技術グループではお客様の依頼に応えられる品質の試作を実現すべく、新たなスクリューのアレンジを構想。着実に候補を絞り込んでいきました。
ところが、その知識や経験をもとにラボで試作を重ねても、想定したとおりの品質が得られなかったこともしばしば。求められている色調の基準が非常に厳しく、わずかな色の違いも許容されない状況だったからです。そのつど生産技術グループは立ち止まり、自分たちの考えの誤りと向き合って調整を続けました。押出機は2つのスクリューをからみ合わせて材料を混成するというシンプルなつくりです。それなのにこれまで培ってきた知見が通用しないところがある。その奥の深さが魅力であり、難しさでもあります。
「作っては反省し、アレンジをしなおしてまた作る。その繰り返しでした。決して楽ではありませんでしたが、新しい領域に足を踏み入れて成長しているという実感がありました」と生産技術グループのあるメンバーは振り返っています。

お客様と喜びを分かち合う

試行錯誤を繰り返して、ようやく新しいアレンジのパラメータが確立されました。数カ月がかりのチャレンジでした。
次の壁は、量産化へのスケールアップです。ラボ機でスクリューの回転数や温度条件などが定まっても、スケールアップすると思ったとおりに行かないというのは、よくある話。量産機では機械のサイズが大きくなるため、ラボ機で最適なスクリュー回転数や温度を設定しても、樹脂への熱負荷が過剰になり、求められている色調が得られない可能性があります。 そこで生産技術グループでは機種差などを考慮しつつ、量産機に適したパラメータを算出し、最適な条件を見つけ出すことに成功しました。
そして、お客様が立ち会った上でのテスト。お客様も難易度の高い依頼だったことは認めており、量産機での成功を目にして、「ありがとう、これで製品化に踏み出せる」と喜んでくれました。
見事にお客様の期待に応えることができた生産技術グループのメンバーは、大きな達成感を得ました。
二軸押出機はもちろん今も埼玉川本工場で稼働を続けています。スクリューのアレンジには、今回開発した新しい構成が加えられました。マシンに確かな刻印を残せたことを、生産技術グループのメンバーは誇らしく思っています。
日本ピグメントの生産技術者は、一般的な生産技術者のイメージとは違って、新たな技術の開発や製品の立ち上げに深く関わっています。
今回の取り組みによって高品質な製品を量産することができ、製品づくりに貢献できたことは、メンバー一同、大きなやりがいにつながったプロジェクトでした。